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2024年3月3日
OFFICE TOMOE
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第20回金大煥メモリアルデー
閉幕 |
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文:加賀谷早苗 |
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2024年3月1日、音楽家・書家の金大煥(Kim dae-hwanキム・デファン)[1933-2004]氏命日にちなみ、韓国ソウルの劇場「民俗劇場風流」(韓国文化遺産財団/Korea Cultural Heritage Foundation)にて、金大煥氏を偲ぶ「第20回金大煥メモリアルデー」が開催され、この節目をもってこのメモリアル開催が閉幕した。
韓国の国民的歌手である張思翼(チャン・サイク)氏の主催により開催されてきたこの追慕音楽会に、今年も韓国と日本から金大煥氏と親交のあったアーティストが集った。会の序盤では、これまでのメモリアルを記録してきた金寧万(キム・ニュンマン/Kim Nyungman)氏の写真によるハイライト上映が行われ、長年金大煥氏を慕いメモリアルに集ったアーティストの全身全霊の姿に心打たれ、金大煥氏への思いを深めた。
ジン・オクソプ氏の司会により会は進み、韓国のチャン・サイク氏〔歌〕、イ・グァンス氏〔サムノリ〕、チェ・ソンベ氏〔トランペット〕、キム・グァンソク氏〔ギター〕、ガン・ウンイル氏〔ヘグム〕、ホ・ユンジョン氏〔コムンゴ〕、日本から訪韓した大倉正之助氏〔大鼓〕、横澤和也氏〔石笛〕、中嶋晃子氏〔歌手〕、それぞれの渾身の音楽に心が高まっていった。
30年前、1994年にエイジアン・コラボレーションとして、私ども舞踏カンパニー「友惠しづねと白桃房」と韓国を代表する現代アーティスト陸根丙(ユック・クンビュン)氏の美術によるコラボレーション公演「眠りへの風景」を日本のキリンプラザ大阪で開催。その折、韓国から金大煥氏をゲスト・ミュージシャンとしてお招きした。両手にそれぞれ三種類のスティックを構える金大煥氏独創のトリプル・スティック奏法が印象深く、その演奏は非常な厳しさとストイックな激しさを合わせ持たれている。本人からのプロフィールは「黒雨・金大煥のみ」であった。この公演で、その金大煥[1933-2004]氏のパーカッション、日本のフリージャズ界の嚆矢・吉沢元治[1931-1998]氏のベース、友惠しづね[1955-](「友惠しづねと白桃房」主宰)のギターによる衝撃的な即興演奏『トリオ』が展開された。その後、鬼籍の人となられた金大煥氏、吉沢元治氏を偲び、2012年には、この貴重な『トリオ』の奇跡を残すべく、この音源によるアート・ミュージックDVD「眠りへの風景」をリリースさせて頂いていた。その折、韓国にご報告に参らせて頂いたのを機に、以来、メモリアルに参加をさせて頂くこととなった。
この20回目となるメモリアルの節目に、友惠しづねと白桃房の加賀谷早苗は、『トリオ』(金大煥、吉沢元治、友惠しづね)の映像・音と共に舞踏上演をさせて頂き、意義深いめぐり合わせとなった。また、2016年(第12回金大煥メモリアルデー) に、張思翼氏の歌「西風賦」と共に共演した韓国舞踊の名人・河龍富(ハ・ヨンブ)氏(韓国の重要無形文化財に指定されている農民が豊作を祈るお祭りから発祥した密陽百中ノリ〔ミリャンベクチュンノリ〕の継承者)が来場されており、舞台にお呼びをさせて頂いた。そして、ここでも、今一度、張思翼氏の野性味に充ちた歌声の「西風賦」と河龍富氏の鮮烈且つ包容力のある舞踊、加賀谷早苗の舞踏による三者の共演の邂逅が起こり、閉幕するメモリアルのなかにあって、奥底から命が芽生えるかのように光を放った。
フィナーレのアリランでは、張思翼氏の心に沁み渡る歌声と共に観客の方も一緒に輪になって練り歩き、歓喜に溢れる祭祀となった。
追慕音楽会は、金大煥氏の奥様、権明姫(コン・ミョンヒ)氏に温かく見守られ続けた。
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―後記―
金大煥さんとのご縁を通じ毎年立たせて頂いたこのメモリアルで、彼岸此岸を越えて育てて頂き、ご縁のある皆さまと共にさせて頂いたことへの感謝が犇々と湧いております。そして、金大煥さんの独創の芸術精神を今一度深く胸に刻み歩みだしてゆく気概を新たに抱きます。
権明姫さん、張思翼さんはじめ、メモリアルの観客の皆さま、スタッフの皆さま、韓国・日本の心強いサポーターの皆さまに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
最後に、第20回金大煥メモリアルに寄せて、韓国の張思翼さん、日本の大倉正之助さんにショート・インタビューをいたしました。ぜひご覧頂き、金大煥さんを偲んで頂ければと存じます。
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◎ 第20回金大煥メモリアルに寄せて
*張思翼氏 ショート・インタビュー
*大倉正之助氏 ショート・インタビュー
第20回金大煥(キムデファン)メモリアルデーの節目に 大倉正之助氏 ショート・インタビュー
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―資料―
◎2024年3月1日 第20回キムデファンメモリアルデー
「友惠しづねと白桃房」音楽・舞踏上演 演目紹介
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演目 |
「眠りへの風景」より『トリオ』 |
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音楽
(映像:1994) |
金大煥(パーカッション)、吉沢元治(ベース)、 友惠しづね(ギター) |
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舞踏 |
「友惠しづねと白桃房」加賀谷早苗 |
30年前、1994年にエイジアン・コラボレーションとして、私ども舞踏カンパニー「友惠しづねと白桃房」と韓国の現代アーティスト陸根丙(ユック・クンビュン)氏の美術によるコラボレーション公演「眠りへの風景」を日本のキリンプラザ大阪で開催しました。その折に韓国から金大煥(キム・デファン)先生をゲストにお招きさせて頂いたご縁でここに立たせて頂いております。
本日は、「眠りへの風景」より『トリオ』をお届けします。金大煥先生のパーカッション、吉沢元治氏(日本のフリージャズ界の嚆矢)のベース、そして、友惠しづね(「友惠しづねと白桃房」主宰)のギターによる即興演奏『トリオ』と共に舞踏上演させて頂きます。
20年のメモリアル公演をありがとうございました。
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そして、ジンオクソプさん(写真左)、いつもご紹介ありがとうございました。 |
(友惠しづねと白桃房・加賀谷早苗の演目紹介より) |
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20回のメモリアルを記録し続けてくださった写真家キム・ニュンマン(Kim Nyungman)氏の写真からメモリアルのハイライトをご紹介します。 |
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第20回キムデファンメモリアル記念上映より
音楽:友惠しづね 舞踏:友惠しづねと白桃房 加賀谷早苗 |
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第20回キムデファンメモリアル記念上映より
音楽:友惠しづね 舞踏:友惠しづねと白桃房 加賀谷早苗 |
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第20回キムデファンメモリアル記念上映より
音楽:友惠しづね 舞踏:友惠しづねと白桃房 加賀谷早苗 |
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第20回キムデファンメモリアル記念上映より
キムデファンさんの書を背に、チャンサイクさんの歌と |
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第20回キムデファンメモリアル記念上映より
韓国の音楽と舞踏 友惠しづねと白桃房 入澤サタ緋呼
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第20回キムデファンメモリアル記念上映より |
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第20回キムデファンメモリアル記念上映より
チャンサイク氏(右)、大倉正之助氏(中央左)、横澤和也氏(左)、加賀谷早苗 |
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第20回キムデファンメモリアルを午後にひかえた朝、祭祀を終えて |
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第20回キムデファンメモリアル |
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第20回キムデファンメモリアル |
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第20回キムデファンメモリアル |
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第20回キムデファンメモリアル記念上映より
出演者も観客も一体となるメモリアル打ち上げ。チャンサイクさんと踊る加賀谷早苗
(韓国ソウルにて) |
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▽ 関連記事 ●第20回金大煥(キムデファン)メモリアルデーの節目に 大倉正之助氏 ショート・インタビュー
●“第19回キムデファンメモリアルデー” 韓国ソウルにて開催
「友惠しづねと白桃房」音楽・舞踏上演(映像ご紹介)
●キム・デファン・メモリアル KIM DAE HWAN Memorial
「八王子大司祭」
●第14回金大煥メモリアルデー
〜 音楽と舞踏の共演 〜
●音楽と舞踏DVD「蓮遙抄」の日本語・韓国語版リリース
第13回 金大煥メモリアルデー
●第12回金大煥メモリアルデー
〜 歌と韓国舞踊と舞踏の共演 〜
●10年の節目を越え、第11回金大煥メモリアルデー開催
Beyond 10 year, the 11th Kim Dae Hwan Memorial Day
●第10回金大煥メモリアルデー
The 10th Kim Dae Hwan Memorial Day
●2013.3.11 3月12日、NHK BS1『ほっと@アジア』で金大煥メモリアル・デーのレポートを大倉正之助さんがお届けします!
●『第9回金大煥メモリアルデー』 3月1日に韓国と日本のアーティストが文化交流深める
●2013年3月1日 韓国で開催される第9回金大煥メモリアル・デーで友惠しづねと白桃房の音楽・舞踏特別上演
●ART MUSIC DVD「眠りへの風景」
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