舞踏・BUTOHの創始者土方巽を唯一継承、舞踏芸術の発展をめざし、実践する舞踏カンパニー「友惠しづねと白桃房」のウェブサイトです。


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TELEPRESENCE VOL. 11
RECONNAISSANCE 偵察
東京ーニューヨーク インターネット・コラボレーション

ニューヨーク側会場はチェルシー地区にあり、ハドソン川を見おろす601スタジオ。この展覧会ではDJ プレイの開祖であり、近年はビジュアル・アーティストとして活躍するクリスチャン・マークレイのビデオ作品。 伝統的なアイデンティティーへの挑戦を続けるシリーズ「Too Jewish?」のニール・ゴールドバーグのビデオ作品上映。エイドリアン・ウオーゼルの電子メディアを使ったロボットを採用したパフォーマンスが演じられ、ジャニン・ヒギンズ、ジェシル・ビュン によるビデオ作品が壁に投影されます。

その中で、このたびのイベントでは音楽、映像、舞踏のコラボレーションが行われます。エリオット・シャープはニューヨーク・フリー・ミュージックのトップをしめるミュージシャンであり、先年来日した折りには衝撃的なライブを展開、観客を圧倒。フローティング・ポイント・ユニットはパフォーマー、ビデオ・コンピューター映像作家、インターネット・イベント・プレゼンター。ニューヨークやMITのギャラリー等で活躍する。3DのCGやビデオミキシングによりヴァーチャル・ステージを作りそこにダンサーを配置します。 また東京会場ではデジタルハリウッド生徒によるCG作品が上映されます。
 
日時 東京 ・・・・・1998年6月4日(木)10:00AM
ニューヨーク・・1998年6月3日(水)21:00PM
出演 東京 ・・・・・トモエ静嶺と白桃房
・・The Jupiter Project( DJ モンチ)
ニューヨーク・・トモエ静嶺と白桃房
・・エリオット・シャープ(g)
・・フローティング・ポイント・ユニット(映像)
会場 東京 ・・・・・デジタルハリウッド THE MULTIMEDIA SCHOOL
東京都千代田区神田駿河台2ー3
ニューヨーク・・601スタジオ
601 West 26th Street, New York, NY 10001
使用機材 ViaTV Phone(アナログ回線を使用したテレビ電話)
CU-SeeMe(デスクトップ会議用のアプリケーション)
主催 東京 ・・・・・トモエ静嶺と白桃房
ニューヨーク・・LOCATION ONE
協力
デジタルハリウッド THE MULTIMEDIA SCHOOL
アイル株式会社
 
東京---ニューヨーク 9.6kbpsの速度で繋がる身体
「ダンサート」1998 Autumn号より転載
加賀谷サナエ


東京-NYをアナログ電話回線で繋いだ舞踏、音楽、映像の遠隔コラボレーション「テレプレゼンスVol.11 RECONNAISSANCE I ―偵察―」が開催され、6月4日AM10:00(東京時間。NYはPM11:00)に接続開始した。東京サイトはトモエ静嶺と白桃房がプロデュースし、私は東京サイトから出演した。NYサイトでの出演依頼もあり数名のメンバーはNYに渡った。東京の会場は「デジタルハリウッドThe Multimedia School」、NYは「601スタジオ」。東京、NY両サイトからトモエ静嶺と白桃房の舞踏家、音楽は東京側に日本の先駆的なDJである DJ MONCHI、NY側はギターのエリオットシャープが参加した。各々の会場のアーティストがリアルタイムで双方向のコラボレーションをし、両サイトの映像をNYサイトの映像アーティストF.P.Uが合成エフェクトして、アナログテレビ電話の「Via TV Phone VC50」、インターネット上の集合テレビ電話といえる「CU-SeeME」の画面上に流した。

今回11回目となる「テレプレゼンスシリーズ」だが、アナログ電話回線を使ったのは初めてだ。今まではデジタルのISDN回線を導入してより高画質の映像を理想としていた。テレビ放送並みに画像を送るには最低でもISDN回線3本が必要で、その3本分の速度は384kbpsである。それが、アナログ回線となると最大でも33.6kbps、アメリカ-日本間では9.6kbps程度でしか繋がらない。つまり、日常馴染みのテレビ画像の40分の1の速度で繋がるわけだ。この場合1秒間に2〜3コマ、見えている画像も四角いモザイクが目立つ粗造りな状態を想像していただきたい。しかし、その画像の粗さが“向こう”を覗き込みたい欲求をかきたて、粗いゆえに見えない“彼方”を幻想させる。映像は迫力ある存在感を醸し出していた。画像の粗さ、崩れを包み込む音楽のリズムも功を成し、音と身体と映像が絶妙に混交し、遠隔存在における幻想のリアリティーを形成した。

フレーム落ちする見えない時間、“ここ”に実存しない空間は、目で見えるものにこだわっていては見えない。時間と空間に対して自在に身体意識を拡張し、見えない領域を感得する“身体の目”、同空間のライブとは異なる身体意識のコミュニケーション通路を求められている。

 
 

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