◆「朱文走鬼」の批評
台新芸術賞 パフォーミングアーツ部門 大賞受賞にあたってのノミネート理由および受賞理由をご紹介します。
《ノミネート理由》
「朱文走鬼」は、創立以来、長年南管オペラの基礎を学び伝統を継承してきた江之翠劇場と、日本の友惠しづねと白桃房による共同作品。江之翠劇場の十幾年の努力が実った代表作品。
友惠しづねは、希少な中国古典の梨園戯と、日本の舞踏を幻想的に融合させ、見事な画竜点睛の効果をもたらした。簡潔で内に集中した風格のある演出である。
簡潔なブラックボックスの劇場に能舞台の理念を用い、日本の舞踏と融合させた。人間の内的な精神性を通して、陰と陽、虚と実の美学を追求した斬新な演出。作品は寡黙で且つゆったりとして、抑えられた美観を呈している。のびやかな気品が、古典的な元の味わいを失わず明時代の快活で諧謔な台詞と歌の特色も押えている。表現は自然で趣に溢れ、生き生きして味わい深い。
2006年のこの「朱文走鬼」は、時空を隔てた人間と幽霊の恋愛を成就し昇華させた。美的な様式と趣を備えた表現は、一途な愛を勇敢に追求し、一種の人間の普遍的な命題を述べた。
《受賞理由》
「朱文走鬼」は、江之翠劇場と日本の友惠しづねと白桃房による共同作品。中国の古典と、日本の舞踏の美が融合し、とても純粋且つ成熟した芸術作品を生んだ。江之翠劇場の十幾年の努力が実った代表作品となる。実験的創作の貴重な結果を成すと同時に、江之翠劇場と友惠しづねと白桃房の合作により、文化の融合を見せてくれた。伝統的な芸術の発展的可能性を提示し、大変高度な演出であった。感動を与えた。
(台新芸術賞ウェブサイトより)
|